はじめての相続
相続発生前の手続き(基礎知識)
遺言書の種類
相続が『争続』にならないための生前対策としては、遺言が代表的です。
代表的な遺言の種類について説明します。
遺言の書き方
自筆証書遺言の書き方について説明します。
まず、遺言者が全文を自書する必要があります。次に日付、署名、捺印が必要です。
日付は西暦でも和暦でも大丈夫ですが、『○年○月吉日』のような具体的な日付が確定しないものはダメです。
エンディングノート
エンディングノートは、自分が認知症や重い病気にかかってしまった時、亡くなった時などの万が一の場合に備えて、自分のことや財産のことなどをまとめるノートです。
形式は自由なので、親族やお世話になった人に伝えたいことを自由に書き残すことが出来ます。
暦年贈与と連年贈与
将来の相続に備えて、生前贈与を検討しましょう。
財産を生前に将来相続人となる人に贈与しておくことによって、相続税対策になります。
相続時精算課税とは
相続時精算課税では、65歳以上の親から20歳以上の子どもへの贈与であれば、2,500万円までは贈与税がかかりません。
これは、若い世代により財産を移しやすくしようという目的で、平成15年に新しく作られた制度です。
夫婦間の生前贈与
結婚してから20年以上の夫婦で、自宅または自宅の購入資金としての贈与の場合には、最高2,000万円が非課税になります。暦年課税制度の非課税枠110万円と併せると2,110万円が非課税です。
子どもや孫への生前贈与
平成31年までの期限付きですが、以下のような非課税の特例があります。
1.子などへの住宅購入資金の贈与
2.孫などへの教育費の贈与
法定後見の基礎知識
認知症、精神障害、知的障害などの理由で判断能力が無かったり不十分な場合に、契約や遺産分割協議をする必要があっても自分ですることが難しい場合があります。
自分に不利益な契約や協議であっても、よく判断できずにしてしまったりすることもあります。
任意後見の基礎知識
任意後見とは、本人の判断能力があるうちに、将来、もし判断能力が低下してしまった状態に備えて、あらかじめ自分で選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護、財産管理について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくものです。
生命保険の活用
相続税の軽減だけではなく、円滑な遺産分割にも生命保険は使えます。 主なメリットを3つ上げます。
1.相続人には『500万円×法定相続人の数』の非課税枠がある
2.相続後すぐに現金が手に入る
3.故人の遺産ではなく受取人の財産である
民事信託の活用
近年、民事信託の活用事例が増えています。
今まで信託銀行が行っていた信託は商事信託といい、不特定多数の人から業として財産を預かって管理するものでした。
平成19年の信託法改正によって、親族等が営利を目的とせず特定の人から単発的に信託を受託する民事信託が積極的に活用出来るようになりました。
相続発生後の手続き(基礎知識)
亡くなった後の手続き一覧
当事務所で代行している以外でしなければならない主な手続きをまとめました。
相続人と法定相続分
人の死亡によって『相続』は発生します。
相続が発生すると、相続人となる人とその相続分については法律で決められています。
戸籍謄本等の取得方法
相続人の確定や各種相続手続きに戸籍謄本等は必須です。
戸籍謄本等は誰でも請求できるわけではありません。
個人情報保護の観点からも、一定の人が請求する以外の場合には取得する理由を明らかにする資料の提出が必要になります。
遺産の調査方法
相続が発生しても、何を相続するのか、遺産や負債の内容が分からなければ遺産分割協議などの手続きをすることが出来ません。大切な方が残した遺産や負債にどのようなものがあるのか、探し方を確認しましょう。
相続の承認・放棄
相続財産が確定したら、遺産目録を作って一度整理しましょう。
プラスの遺産が多いのか、マイナスの負債が多いのかでこの後に取るべき手続きが変わります。
遺産分割協議
遺産の分け方の原則は法定相続です。
法律で決まった割合で各相続人が遺産の全部と負債の全部を相続します。
遺産分割協議がまとまらない場合
相続人の内、一人でも遺産分割協議に反対する人がいる場合は、遺産分割協議は成立しません。このような場合には管轄の家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることが出来ます。
未成年、認知症、行方不明の相続人がいる場合
未成年、認知症、行方不明者であっても当然相続権があります。法定相続に従う場合は問題になりにくいのですが、遺産分割協議を行う場合などでは、このままでは手続き出来ません。どのようにすれば良いのでしょうか。
預貯金の相続手続き
ほとんどの方が金融機関に口座を持っていると思います。
口座名義人が死亡した場合には各金融機関で相続手続きをする必要があります。
不動産の相続手続き
不動産を持っている人が死亡した場合は、相続による不動産の名義変更をする必要があります。もし、売却して現金で分割する場合でも、一旦相続人名義に変更してからでないと売却手続きが出来ませんのでご注意下さい。
相続税がかかる・かからない
税理士の専門分野になるのですが、多くの質問を受けます。お金を支払うことになるので皆さん気になりますよね。
まず、相続税は全ての方が対象になるわけではありません。遺産の総額が一定以上の場合には相続税の申告をして、納税する必要があります。