遺産承継手続きの信託銀行との比較
※このコラムは動画でも解説しています。
司法書士は法律によって業として(仕事として)他人の財産管理をすることが出来ます。
要するに相続人の皆さんの代わりに、被相続人から承継した遺産を皆さんに引き継ぐ手続きが出来るということです。
遺産として不動産、預金、有価証券、生命保険のようなものがありますが、司法書士に委任状をいただければ皆さんはご自身のお仕事、趣味に集中してこれら全ての相続手続きの煩わしさから開放されます。
似たサービスとして信託銀行も遺産承継の手続きを行っていますが、今回はこのサービスを具体的に比較していきたいと思います。
サービス内容の比較
まず、当事務所と信託銀行が行うサービスですが、これは業務内容はほぼ変わりありません。
一見、信託銀行の方が何でも出来そうなイメージがあるかもしれませんが、信託銀行は実は銀行自体ではあまり何もすることは出来ません。
様々な遺産の承継手続きや相続税の申告は、国家資格がないと行うことが出来ないからです。
ですので、信託銀行はあくまで窓口として機能し、具体的な手続き部分に関しては提携の司法書士や税理士等に外注してるのが現状です。
当事務所も司法書士事務所ですので相続税の申告は出来ませんので、こういった専門外の部分に関しては提携の税理士の外注せざるを得ない部分がありますが、こと遺産の承継に関しては司法書士が全て行うことが出来ます。
相続税に関しても個別具体的に回答することは出来ないにしても、ある程度一般的な回答はすることが出来ます。
費用の比較
信託銀行によって多少は違いますが、某銀行の報酬規定を見てみます。
概ね横並びでこの程度は掛かります。
最低費用 | 108万円 |
---|---|
5,000万円以下の部分 | 2.160% |
5,000万円超 1億円以下の部分 | 1.620% |
1億円超 2億円以下の部分 | 1.080% |
2億円超 3億円以下の部分 | 0.864% |
3億円超 5億円以下の部分 | 0.648% |
5億円超 10億円以下の部分 | 0.432% |
10億円超の部分 | 0.324% |
上記以外に掛かる費用
- 遺産整理実行に必要となる実費
- 不動産登記に関する登録免許税や司法書士手数料
- 戸籍謄本、固定資産税評価証明書等取寄せ費用
- 預貯金等残高証明書等発行手数料
- 鑑定評価手数料
- 不動産売却手数料
- 準確定申告、相続税申告等に係る税理士報酬等
次に当事務所の報酬規程です。
500万円以下(最低費用) | 25万円 |
---|---|
500万円を超え5,000万円以下 | 価格の1.2%+19万円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 価格の1.0%+29万円 |
1億円を超え3億円以下 | 価格の0.7%+59万円 |
3億円を超える | 価格の0.4%+149万円 |
上記以外に掛かる費用
- 遺産整理実行に必要となる実費
- 不動産登記に関する登録免許税
や司法書士手数料 - 戸籍謄本、固定資産税評価証明書等取寄せ費用
- 預貯金等残高証明書等発行手数料
- 鑑定評価手数料
- 不動産売却手数料
- 準確定申告、相続税申告等に係る税理士報酬等
表のフォーマットが違うので比較しにくと思いますので、具体的な金額を例にします。
遺産の評価額が1億円とします。
某信託銀行の報酬(実費除く)
5,000万×2.160%+5,000+1.620%=189万円
これにプラスで各専門家に支払う報酬が掛かります。
当事務所の報酬(実費除く)
1億×1.0%+29万=129万円
これにプラスで各専門家に支払う報酬が掛かりますが、司法書士に支払う報酬は掛かりません。
如何でしょうか。報酬だけで60万円の差が出ますし、プラスで各専門家報酬として本来なら司法書士に支払う報酬(相続登記だけでも約10万円)が掛かるので、実際は遺産が1億円の場合ですと、70万円以上の差が出ます。
メリットとデメリット
上記のとおり、費用で見ると信託銀行に依頼するとかなり高い金額となります。
それでも信託銀行を選ぶメリットが一つあるとすれば、それは組織として巨大ということだけでしょう。
司法書士事務所は大手の法人だったしても、従業員が1000人を超えるような事務所はおそらくありません。
一般の中小企業よりずっと少ない人数で営業している事務所がほとんどです。
それは、資格を持った人間だけしか業務を行うことが出来ず、従業員の監督も司法書士がしなければいけないので、拡大することに限界があるからです。
その分、本職である司法書士が全て目を通していますので、それは当事務所にご依頼いただくメリットになると思います。
司法書士という国家資格を持った専門職が責任を持って担当しますので、安心して遺産承継手続きをお任せいただけると自負しています。
まとめ
- 遺産承継業務は信託銀行も行っているが費用は割高
- 遺産承継業務の内容としては、信託銀行も当事務所も差はなく、むしろ当事務所内で出来る手続きがほとんどのため、スピーディーに対応出来る
- 遺産総額1億円の場合だと、当事務所と信託銀行の報酬では70万円以上の差が出る