相続人が不明・不在!相続手続きはどう進めればよい?
相続が開始され、相続人と連絡を取ろうとしたところ、所在がわからない相続人が出てくることがあります。
特に、被相続人が高齢の場合は相続人と長年音信不通になっていることも多く、所在だけでなく生死も不明になっていることがあります。
相続人の所在がわからないとき、どのように相続手続きを進めればよいのでしょうか。
行方不明者が見つからなれば『不在者財産管理人』を選任
被相続人の遺言書が残っていない場合、原則として相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。
そのため、相続人の中に行方不明者がいると、遺産分割協議を進めることができません。
そこで、まずは行方不明となっている相続人を見つけるための働きかけが必要となります。
一般的な進め方としては、行方不明者が最後にいた住所がわかれば、そこから住民票等をとって本籍地や転居先を調べたりすることになります。
郵便物の転送設定がされている可能性もあるため、本人宛に郵便を送るという方法もあります。
それでも見つからない場合、いつまでも行方不明者を探しているわけにはいきません。
相続税の納付期限は相続が開始してから10カ月となっていますから、それまでには遺産分割協議を進めたいところです。
そこで、ある程度の期間が過ぎても不明者が見つからない場合は『不在者財産管理人』 を選任する手続きに移ることになります。
不在者財産管理人とはその名の通り、行方不明者の財産を管理する人のことで、一般的には利害関係のない第三者が選任されます。
被相続人の親族のうち相続人ではない人や被相続人の友人、行方不明者の親族、あるいは弁護士や司法書士などが候補となるケースが多いでしょう。
不在者財産管理人の選任後、家庭裁判所に『権限外行為の許可』の申し立てをし、許可を 受ければ、不在者財産管理人が行方不明者に代わって遺産分割協議に参加することができます。
不在者を死亡したとみなす『失踪宣告』という方法も
もう一つの方法として、7年以上(危難失跡の場合は危離が去った後1年以上)生死不明になっている相続人について『失踪宣告』を受けるという方法もあります。
しかし、この方法を使うときには注意が必要です。
失踪宣告が認められると、不在者は死亡したものとみなされるからです。
不在者についての相続も始まりますし、婚姻も解消されます。
単に所在地がわからないだけで、死亡している可能性が低い場合には、失踪宣告は使わないほうが無難であるといえます。
相続手続きにはタイムリミットがあります。
相続税が課税されなければ急ぐ必要はないとはいえ、放置して数次相続(相続人の1人が死亡し、次の遺産相続が開始されてしまうこと)になってしまうとさらに手間がかかります。
相続を意識し始めた時点で一度相続人を調べておき、行方不明者や死亡者がいないかを確認しておきましよう。