相続人の内の一人が刑務所に収監中の場合

事例

相談者Kさんの弟が現在刑務所に収監中で、遺産分割協議書への実印での押印と印鑑証明書の用意が出来ないのでどうすればいいかというご相談でした。
自分ではとても手続き出来そうにないということで、当事務所に遺産分割協議から相続登記までご依頼いただくことになったケースです。

当事務所で解決

刑務所に収監中の人は、遺産分割協議書への署名は出来ますが実印は手元にありませんし、外出することも出来ないので印鑑証明書を用意することも出来ません。
相続登記をするには、遺産分割協議書に相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付しなければなりません。

このようなケースでずばり当てはまる先例はなく、類似の先例に基づいて管轄法務局にどのようにすれば良いか登記申請前に事前に照会しました。
類似の先例として、不動産売買の場合の売主が刑務所に収監中で実印の押印と印鑑証明書の用意が出来ないケースがあります。
このケースでは、実印の押印の代わりに指印での押印、印鑑証明書の添付に代えて刑務所長の奥書証明で代えることが出来ます。
刑務所長の奥書証明とは、実印を押印する書面に「上記の署名及び指印は本人のものに相違ない」等の証明をしてもらうことです。
管轄法務局でも、この先例に準じて取り扱って問題ないとの回答をしてもらい相続登記を無事に完了することが出来ました。

一見、原則どおりに行くと不可能に思える手続きでも必ず方法はあります。
実務は教科書どおりに出来るケースばかりではありませんので、困ったときは一度相談にいらして下さい。

この記事を書いた人佐伯知哉(さえきともや)司法書士紹介ページ

司法書士法人さえき事務所の代表司法書士。
主に相続関係の手続き、相続の生前対策(遺言・家族信託など)、不動産の登記、会社法人の登記を中心に業務を行っております。今後はさらに遺産相続問題に先進的に取り組む事務所を目指しています。

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