認知症になってから家族信託をすることはできますか?
家族信託を設定する場合は、信託行為によるのですが、信託行為とは「信託契約」・「遺言(遺言信託)」・「自己信託」の3つを指します。
分かりやすいので、信託契約の場合で考えます。
信託「契約」ですので、当事者として最低2名以上が必要となります。
当事者は委託者と受託者ですね。
委託者と受託者による信託契約によって家族信託が設定されるわけです。
自分自身の財産を託そうとする委託者が認知症になっている場合に、正しく信託契約の内容を理解できていないと、その信託契約は無効なものになってしまいます。
契約内容をまったく理解できていない場合で、その契約が有効にはなりません。
誤解を恐れずに言うと、例えば、赤ちゃんが一人で大人と契約できませんよね。
つまり、認知症になってしまうと原則として家族信託をすることはできなくなってしまいます。
ですが、認知症といえども初期のもので、信託契約の内容を理解できる程度のものであれば場合によっては家族信託を設定することができるかもしれません。
ただ、司法書士は医師ではありませんので、その認知症の程度を正確に判断することは難しいです。
このような場合には、主治医にきちんと判断能力があることについて診断書を書いてもらえれば、後々、信託契約の有効性について問題が生じた時にも安心でしょう。